長野県伊那市のさまざまな取り組み

ドローン先進地域:長野県伊那市

ドローン・フェス in INA Valley

ドローン・フェス in INA Valleyの様子(1枚目)

ドローン・フェス in INA Valleyの様子(2枚目)

10月18日~10月21日に、長野県伊那市主催、JUIDA(一般社団法人日本UAS産業振興協議会)全体監修、ブルーイノベーション企画・運営の下、ドローン総合イベント『ドローン・フェス in INA Valley』が、長野県伊那市で開催されました。

ドローンフェスでは、ドローンを使った様々な催しが行われましたが、なかでもドローン鹿検知コンペティションという大変ユニークで先進的な試みが行われたようです。
残念ながら、コンペ日程二日のうち初日は雨天のため中止、二日目は霧のため開催が危ぶまれるなか始まり数組は競技することができたということです。
悪天候のため、たびたびの中断を余儀なくされたイベントですが、ドローンで鹿を検知するというコンセプトは注目に値するように思います。
なぜなら、鳥獣による農作物被害は農家の方にとっては切実な問題であるからです。
ドローンによって空から鹿を検知しその生態を把握をすることができれば、被害防止策の立案に役立つはずです。

ドローンを何に対して如何に利用するのか?このことを明確にすることが大事です。
肝心なのは、活用用途を生活利便の観点から具体的に掬い上げて、実証実験を繰り返していくというプロセスにあると思われます。
その点において、ドローン・フェス in INA Valleyは有意義で示唆的なものとなったのではないでしょうか。

AI搭載のドローンも登場したそうです。
詳しくはリンク先をご覧ください。

Link to:
ドローンフェス in INA Valley 2017
伊那谷ねっと

ドローンを用い木材伐採現場架線作業で実証実験

ドローンを用い木材伐採現場線作業で実証実験(1枚目)

ドローンを用い木材伐採現場線作業で実証実験(2枚目)

10月30日、伊那市新産業技術推進協議会ドローン活用作業部会は、同市長谷鹿嶺高原の木材伐採現場の架線作業で、小型無人機ドローンを用いる実証実験をした。
ドローンを飛ばして木材搬出用のワイヤ張り(索張り)を行い、省力化、効率化に向けて人力との作業時間差を比較。
飛行自体は順調だったが課題もあり、市耕地林務課は「今回の検証も含めて実際に現場で使えるよう研究していきたい」と話した。
実験は市有林で実施。作業を請け負う上伊那森林組合が協力し、部会員でもあるクエストコーポレーション(小布施町)がドローンの技術提供をした。

引用元:
Nagano Nippo Web

ドローンで物資輸送の実証実験

11月13日、長野県伊那市長谷地区で、郵便局から道の駅をドローンで輸送する実証実験が行われます。
実験内容は…
①郵便局員が注文票を入れた箱をドローンに取り付けた後、郵便局から離陸。
②約2km離れた道の駅に着陸後、道の駅店員がドローンに取り付けられた箱を取り外し、注文の商品を荷詰めし道の駅から離陸。
③郵便局に着陸したドローンから郵便局員が箱を取り外し、商品を受け取りミッション完了。

参加機関…ブルーイノベーション株式会社、東京大学、日本郵便株式会社、株式会社自律制御システム研究所、株式会社NTTドコモ、長野県伊那市

なんともわくわくする実験だと思いませんか。
残念ながら九州から長野までは遠く行けませんが、この実験を生で見てみたいなと私なんかは思います。
将来的に物資輸送は現実的なドローンの活用用途です。
まだ想像しにくいかもしれませんが、その輸送対象は人も含まれます。
また、将来的にドローンの離発着用のポートはインフラ施設になるでしょう。

Link to:
sorae.jp

ドローンの有用性

このような伊那市の取り組みについて凄いなと感じるのは、単にドローンという話題の材料を用いた町おこし的なものではなく、現実的な必要性のなかにドローンの利用価値を探ろうと試みているところです。
ですので、漠然とした運航目的ではなく、具体的な状況や目的の設定があります。
山間部での物資輸送は実現できれば高齢化や積雪・災害時等における物資調達の素晴らしい解決手段となりえるでしょう。
先の鹿検知コンペティションにしてもそうですが、人々の生活ソリューションとして、ドローンの活用用途を考える視点が大事なのだと気づかされます。
一過性の町おこしではなく、IoTにより総合的な町づくり構築を目指す伊那市の率先した取り組みは、まさに先進的と言えるでのではないでしょうか。

ドローンでできること…、空を飛び空撮をする。
という第一義的な目的を超えた利用価値を探す試み、これが大切なのだと感じます。

ドローンの運航は手段に他なりません。そして、運航目的となる活用用途はアイデアの分だけあります。
用途により運航条件は様々ですので、その条件に最適化した運用をすべきです。
勿論、ぶっつけ本番というわけにはいきません。
各々条件ごとに実証実験が必要ですし、また、企業と各関係機関との連携・協力なしには実験を行うことはできません。
これらの課題を一つずつ克服した後に、期待にかなった便利なサービスが実現されるものだと思われます。

伊那市のHPには、「官民協働でIoTを活用した新産業技術のまちづくりに取り組んでいます」とあります。
私たちも常々、地域の活性化のため、さらには、さまざまな業種・企業の方の生産性を高めるための取り組みにチャレンジしていきたいと思っているところです。
そんな中、私たちが現在取り組んでいる各種プロジェクトを進めるうえで、皆さま方のご協力・ご賛同をいただけている事を大変うれしく思っています。
そして官民一体となったまちづくりの一端を担うことができれば幸いです。

掲載の写真は伊那市在住でドローン普及に尽力されている蟹澤幸一様のご好意により提供いただきました。
ありがとうございます。